会社法の議決要件

 辰巳のモーニングシャワーという短答の問題が毎朝8時に3問ずつ送られてくるのが便利である。(個人情報と引換えに)無料で配信されてくる。興味のある方はぜひ。詳細は各自調べられたし(生協でパンフ配ってるbyみつのぶ氏)。
 さて、会社法の議決要件でも覚えてみるかと、いまさら思ってるんだが、ややこしいなぁ。数字は好きなんだけどなぜかこれは覚えられん。語呂合わせをするのもなんか変なので、具体例を書くことで、覚えてみる(しかし間違ってるかもしれん!)。たぶん、99%の3年生はすでに記憶しているものですが(笑)。Aが300株、BCDが100株、EFが100株(ただし無議決権)もっていて、Aさんから順に出席(賛成)してくれそうだとします。株式総数は800株(議決権行使可能株式総数は600株)で、株主総数は6名ですね。

普通決議(デフォ)(≒メラ)

 議決権行使可能株主の議決権の過半数を有する株主が出席しないといけない(定足数)。つまり、出席株主の株式総数が301株以上にならないといけないので、これを満たすためには、ABの2名が出席しないといけない。
 そして、出席株主の議決権の過半数があれば決議される(議決要件)。出席株主の議決権の総数は400株だから、その過半数、つまり201株あれば、決議できるわけです。したがって、Aが賛成すれば当該議案は通ることになる。ほうほう。

特別決議(大事な手続き用の重めの決議)(≒メラミ)

 特定株主からの自己株の取得とか(公平じゃないからね)、有利発行とか(お金減っちゃうからね)、事業譲渡とか(身を切りうりするんだからね)、累積投票で選任された取締役や監査役の解任(少数株主保護のために累積投票やったんだから簡単に解任できたら困るよね)とかの場合に、特殊決議というやや重めの決議がなされるらしい。
 定足数は普通決議と同じく、議決権行使可能株主の議決権の過半数を有する株主の出席。すなわち、ABの2名が出席すればよい。議決要件は出席株主の議決権の3分の2以上あればよい(ここが加重されている)。つまり、267株以上あればいいわけです。なのでAが賛成すればよいですね。今回は偶然、普通決議と結論が同じになりました。問題の設定がクソだからですね。

特殊決議(超大事な手続き用の超重い決議)(≒メラゾーマ

 全ての発行済み株式を譲渡制限とする旨の定めを新設する定款変更などだそうです。突然「今後株式売りたかったらアタシ(会社)の許可を得ないとだめなのねーん」(ボンビー風)といわれるわけなので、慎重な手続きが要求されるんですね。
 今回は定足数ではない(要件が二段階になっていない)のだけど、議決権行使可能株「主」の半数以上の賛成であることがまず必要。議決権行使可能株「主」は4名いるのでその半数以上、つまり2人以上の賛成であることが必要。この時点で、ABの賛成が必要です。
 さらに、議決権行使可能株主の「議決権」の3分の2以上の賛成が必要(出席株主のではない点で加重されている)。議決権行使可能株主の議決権は600株なので、400株あればいい。この要件からはABの2名でギリギリクリアできることになります。
 そういうわけで結局、AB2名の賛成が必要だということになります。ふむふむ。

特殊特別決議(≒マダンテ

 非公開会社において、剰余金配当などを株主ごとに異なって取り扱う旨の定款の定めをする場合のみ(公開会社だと株主平等原則に反するのでできない)、このマダンテが放たれます。これも定足数要件はなく、二つの要件を同時にクリアする必要があります。
 まず、総株主の半数以上であること。「総」株主なので、今回は6名。その半数以上なので、3名の賛成が必要。つまりこの時点で、ABCの3名の賛成は必要です。
 さらに、総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。総株主の議決権って要するに議決権行使可能株主の議決権と同じだと思うんですが、4分の3ってのがマダンテ級なわけですね。今回は、600株の4分の3なので、450株以上あればよい。なので、ABCの3名が必要となるわけですね。
 そういうわけで結局、ABCの3名の賛成が必要だということになります。ふがふが。

結論

 「過半数」だったり「半数以上」だったり。「議決権」だったり「株主」だったり。「3分の2」だったり、「4分の3」だったり。全く暗記できません。