「食品の裏側」by阿部司

全く期待せずに読んだのだけど、すごくよかった。添加物の具体論もタメになるが、それよりも、視点の広さに感動した。添加物に頼る→簡単に料理ができる→食の大切さが希薄化してしまう→愛が育たない、という論理や、添加物入りのものばかり食べる→本物(天然)の味が分からなくない→食という「文化」の崩壊、という論理は説得的だし、事の本質をついていると感じた。また、添加物の良い点悪い点の両方に光をあてるバランス感覚及び批判に終止せず「どうすればよいのか」まできちんと書く読者への責任感に、高い好感と安心感を覚えた。