竜馬がゆく 読了

結構前に読み終えていたんだが、卒論で忙しかったので記事を書けなかった。全体を通して、実にメッセージ性のある名著だった。自分の中の「理想」を確認しているような気持ちで読みつつ、その実、その「理想」そものもが読み進めるうちにより深く、醸成していったのだと思う。実際の竜馬がどうであったかなんて分らない。だが、残された証拠から、かのように推測した小説家がいて、それを読んだ俺がいて、そして、感銘を受けた俺がいる。知識が増えた、とかそういった類の話じゃないんだよな。すげー尊敬できる先輩にジョナサンでオールで話を聞いてもらった後のような感じ。読んでまじよかった。

  • 竜馬は、議論の勝ち負けということをさほど意に介していないかたちであるようだった。むしろ、議論に勝つということは相手から名誉を奪い、恨みを残し、実際面では逆効果になることがしばしばあることを、この現実主義者は知っている。
  • すでに議論で七分どおり、当方のいうことに相手は服している。あとの三分まで勝とうとすれば、相手はひらきなおるだろう。
  • 仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分は誰でもできる。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。そうでなければ大事業というものは出来ない。
  • しかし、時代は旋回している。若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押し開けた。