水木楊「東大法学部」新潮新書

 読書録は日本語で書こう。どうせ、引用する部分は日本語なのだし。筆者が本書を通じていいたいこと自体に対しては「ふーん」という感想しかないが、彼が引用する著名人の言葉には賛成するか否かはさておき示唆に富むので、備忘のため記録しておく。賛否だけ書いておくと、上から4つ目は反対、その他は賛成。とりわけ、上から2つ目は、その表現がオーバーである嫌いは否定できないものの、基本的な考え方にはまさに同意。政治家が官僚を「使う」ということはこういうことなのだと思うし、またこうあるべきだと思う。

  • 「各国はみな親睦をもって外交関係を発展させているように見えるが、それは表面上のことであり、弱肉強食で、大が小を侮るというのが実情だ。国力を蓄え、対等の立場で外交のできる国になることが先決だ」(岩倉使節団との夕食会におけるビスマルクの言葉)
  • 「みなさん(大蔵官僚)はエリートの中のエリートだ。その頭脳においてすぐれていること、これに勝るものはない。したがって考えることは全て諸君にお任せする。不肖、角栄は諸君の考えた結果に全責任を負う覚悟である」(池田内閣下で大蔵大臣に就任した田中角栄の挨拶)
  • 「学びて思わざるはすなわち左傾し、思うて学ばざるはしなわち右傾す。ゆえに我は中道を行く」(芦田均の演説)
  • 「為替ディーラーなど汎用性が高く転職しやすい能力を『一般技能』、その会社でしか通用しない能力を『企業特殊技能』と呼ぶが、公務員は典型的な『企業特殊技能』だ。だいたい、同業他社がないから、転職のしようがない。」
  • 「実体法解釈だけの法律学なら男子の一生を託するに値しない。」(宮沢俊義
  • 「志を持て、気力を養え、知識を磨け、行動せよ」(吉田松陰