だって別れがいつもあとなんだもん

朝、かてきょに行くひろとを見送る。スイカパスネットと定期の入った「電車使う時用財布」とおぼしきものが机の上にだしっぱだった。まったくこのこは。かわいそうなので、積まれていた食器を洗ってあげた。まぁまぁめんどい。ご褒美としてひろパソから音楽をパクろうと思ってパソに電源いれたら、ぱすわーどを要求されて、泣いた。「しおりんらぶ」ってうってみたがそれでは入れなかったので、あきらめた。
鍵をポストに入れて、本郷へむかう。久々のじゃがーんにまたがる。じゃがーんはこの前乗ったときから空腹をアピールしていたので、ガソスタいって飯を食わせる。そして、上野の大洋モータースへ。保険の更新の手続きが当初の予定だった。でも実は、じゃがーんを養子にだすことを考えていた。後期は本郷に行く事はほとんどなく、柏がメインとなる。かといって柏にじゃがーんをもっていくのはちょっとひよる。持ってかえってくるのも大変だし。柏にはレンタル自転車があるのでそれで十分ではないかという気もするし。そこで、誰かにじゃがーんを養子にだそうかなぁと考えていたのだ。見積もりをしてもらうと、40000円で買い取ってくれるらしい。500kmしか走ってないし傷もほとんどないのでもっといくかなぁとも思ったが、そもそも100000円で買ったものなので、1年のって4割で売れたらまぁいいかなと思った。あと、なんか粘るのもじゃがーんに悪いような気もしたし。そこで整備されてまた別の人が大切にのってくれるのなら、それでいかな、と。
もちろん、友達に養子に出すってのを一番に考えていた。でも、お店の人の「危険物は友達には売らない方がよい」という言葉に納得したので、お店に売る事にした。友達にうって、そのバイクでそいつが事故ったら一生責任を感じるだろうし。また、金銭的にも、継続するよりは養子にだしたほうがよかった。保険の更新料金は3万円超だが、これは林町小での練習を毎回一人タクシーにのるぐらいの料金に相当する。主に林町への移動手段として使っていたから、タクシーでよいなら、タクシーのろうか、という話しである。
というわけで、別れを惜しむ間もなく、じゃがーんは引き取られていった。本当は、もう一回上野の噴水にじゃがーんと二人で行って、思いでを噛み締めつつ、ありがとうを言ってからお別れしたかったんだが、日程的にしばらく本郷行かないし、今日は3時からバイトの代講が入っていたので即断せざるおえなかった。たやすく想像されたことではあるが、歩いて本郷まで戻る帰り道、どうしようもなく寂しかった。一輪の花が枯れてさえ、それは占めていた空間に哀愁を感じるのだ。1年間連れ添った仲間との別れを寂しがらないはずがない。
じゃがーんと出会えて本当によかったと思う。風を感じれたし。悩んだとき、グルグルしたとき、じゃがーんに飛び乗って上野の噴水へよく行った。傍らには必ず、じゃがーんがいた。そして、じゃがーんをピカピカにするのが、好きだった。ちっちゃい原付なんだけど、一生懸命ふくとピカピカする子だから、ことあるごとに隅々まで吹いた。駐車場がないため雨さらしになることが多かったから、そのことにわびつつ、懸命にふいた。寡黙な子だから、口に出しては言わないが、喜んでくれていた気がする。
バイクを買おうと思った事、数ある中からじゃがーんを選んだこと、そして、今日、手放した事、すべて、結果的には英断であろうと思う。そして出会えたこと、培った思い出、どれをとっても、別れの寂しさよりもでっけー幸せだったと確信できる。でも、今、ちょっと寂しい。だって、別れがいつもあとなんだもん。最後にあるのは、別れだから。だから、寂しい。でも、ねちっこいのではなく、秋風のように爽やかで、でもちょっと冷たくって肩をすくめてしまうような、そんな寂しさ。全てが思い出に昇華するまで、それほどの時間を要しないだろう。思い出に昇華する前だからこそ、心から、次の言葉が言える。
じゃがーん、1年間、お疲れ。ほんまにありがとうな。次のオーナーにもかわいがってもらうんやで!