東大学部入試(前期)

 今日は東大の前記入試である。もはや7年前。大学全体で見れば、この試験で合格した子たちに追い出される形で、俺たちは卒業するわけか。ところで、平成24年から、大学入試センターの科目に、「倫理、政治・経済」が追加される。そして、東大の出願に必要な文系科目は、「日本史」「世界史」「地理」「倫理、政治・経済」から選択することになった。倫理と政治経済が合体して、現代社会が省かれたわけですね。
 東大は幅広い知識をもった人材の養成を目指している。わが国を牽引するリーダとして必要な素養だからだ。法科大学院でいえば、国際系の科目が必修となっていること、選択必修も多い結果、司法試験でいうところの選択科目をほぼ全ての学生が少なくとも2科目履修する(3科目履修する人が多い。俺も、知財法と倒産法と経済法を履修)ことに、その姿勢が現れているだろう。そもそも、駒場でのリベラルアーツを経て、進学先が決まるということ自体、その現れといっていい。
 学生選抜方法また、しかりである。理系であっても、センターで社会科目を受けなければならない。そうはいっても、今までは、倫理、政治経済、現代社会という抜け穴的に負担が軽いものがあったが、倫理+政治経済となることで、他科目との負担の差も相対化されるだろう。事実上負担が0である現代社会(東大を受験する学生であれば無勉で受けても普通は80点とれる。倫理や政治経済は、負担が軽いとはいえ、無勉では全然得点できない点で、現代社会とは異なる。)がなくなったのも大きい。
 受験の負担という点でいえば、東大ほどきついところはないはずだ。受験に際して、対応すべき科目の多さが東大の一番のきつさだろう。それを乗り越えなければ、受験資格さえ与えられない。国立であっても、大学を変えれば、受験科目は減る。私大まで視野を広げれば、科目は激減だ。究極的には1科目というのさえありうる(しかも、それで早慶などの有力校に行けてしまう)。そして、当たり前だが、受験校を下げれば下げるほど、合格率は高くなる。倒すべき科目が減り、合格率が上がる。この誘惑は、小さくない。
 しかし、最後まで妥協しなかった子たちが、今日、ここで試験を受けているのだ。中には、D判定のまま特攻してきた子もいるかもしれない。でも、今、ここで、その試験を受けるまでに、すでに壮絶な戦いがあったことを忘れてはならない。第一志望を譲らず、多く厳しい負担から逃げず、センターを受け、受験票を出し、今、試験を受けていることは、それだけで良く頑張ったといっていい。
 後は、その試験に全力を尽くすだけだな。頑張れ、受験生。